「水道連結型スプリンクラーには、どんな種類があるの?」
「直結式と受水槽式、湿式と乾式は何が違う?」
水道連結型スプリンクラーにはいくつかの方式があり、名称だけでは違いがわかりにくい設備です。
ただし、考え方はそれほど複雑ではありません。
水道連結型スプリンクラーは、主に次の2つの視点で分類できます。
| 視点 | 分類 | 違い |
| 給水方法 | 直結式/受水槽式 | 消火に使う水をどこから供給するか |
| 配管の状態 | 湿式/乾式 | 通常時に配管内へ水を入れておくか |
この記事では、横浜市を中心に消防設備の点検・工事を行う東宝企業株式会社が、それぞれの違いをわかりやすく解説します。
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<目次>
水道連結型スプリンクラーとは

水道連結型スプリンクラーは、水道の水を利用して消火するスプリンクラー設備です。
法令上は「特定施設水道連結型スプリンクラー設備」と呼ばれ、一定の小規模施設などで採用されます。
対象施設については、別記事「グループホームのスプリンクラー設置義務」「診療所スプリンクラー」の記事をご覧ください。
一般的なスプリンクラー設備と比べ、水道設備を活用できるため、建物の条件によっては大規模な水槽やポンプを設けずに設置できることがあります。
ただし、どの方式を採用できるかは、建物の用途だけでなく、水道の水圧・水量や給水設備の条件によって変わります。
給水方法は「直結式」と「受水槽式」
まず押さえておきたいのが、消火に使う水をどこから供給するかという違いです。
大きく分けると、直結式と受水槽式の2種類があります。
直結式

引用元:総務省消防庁「認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会(第2回)」参考資料9「スプリンクラー設備の技術的基準等概要」(平成25年5月24日)
直結式は、建物の給水管にスプリンクラー設備を接続し、水道から直接水を送る方式です。
水道の水圧や水量だけで必要な放水性能を確保できれば、受水槽や専用ポンプを設けずに構成できる場合があります。
そのため、
- 設備を置くスペースを抑えやすい
- 水槽やポンプを減らせる場合がある
- 比較的小規模な施設で検討しやすい
といった特徴があります。
一方で、水道の水圧や水量が不足している建物では、そのまま直結することはできません。
必要に応じて増圧設備を設けたり、別の方式を検討したりします。
水道直結式の特徴やメリット・デメリットは、別記事「水道直結式スプリンクラーの特徴とメリット・デメリット」で解説していますので、あわせてご覧ください。
受水槽式

引用元:総務省消防庁「認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会(第2回)」参考資料9「スプリンクラー設備の技術的基準等概要」(平成25年5月24日)
受水槽式は、水道の水をいったん水槽にため、ポンプなどを使ってスプリンクラーへ送る方式です。
水道側の水圧や水量だけでは必要な性能を確保できない場合でも、設備側で必要な給水能力を確保しやすいのが特徴です。
一方、
- 受水槽を設置するスペースが必要
- ポンプなどの設備が増える
- 直結式より設備構成が大きくなりやすい
という点があります。
したがって、水道の条件が合えば直結式、水道だけでは必要な性能を確保できなければ受水槽式などを検討するというのが基本的な考え方です。
「湿式」と「乾式」の違い
直結式・受水槽式とは別に、配管内の状態によって湿式と乾式に分ける考え方があります。
湿式
湿式は、通常時からスプリンクラー配管の中に水が入っている方式です。
火災によってスプリンクラーヘッドが作動すると、配管内の水がすぐに放出されます。
構成が比較的シンプルで、水道連結型スプリンクラーでは基本となる方式です。
一方、配管内に常時水が入るため、設置環境によっては凍結や結露、水漏れなどへの配慮が必要になります。
乾式
乾式は、通常時にはスプリンクラー配管内へ水を入れておかない方式です。
火災時に設備が作動すると弁が開き、配管へ水が送られてから放水します。
通常時に配管内へ水を入れないため、凍結や漏水による被害を抑えたい場所で検討されます。
ただし、湿式と比べて設備構成や作動条件が異なります。
また、特定施設水道連結型スプリンクラー設備は法令上、基本的に湿式を前提としており、乾式を採用する場合は評価を受けた設備や所轄消防本部との確認が必要になるケースがあります。
どの方式を選ぶかは水道条件で決まる
水道連結型スプリンクラーでは、必要な放水性能を確保できるかが重要です。
方式を検討するときは、主に次の点を確認します。
- 建物の用途とスプリンクラーの設置条件
- 水道の水圧と水量
- 給水管の口径
- 受水槽やポンプを設置できるスペース
- 凍結や漏水リスクの有無
水道の水圧・水量が十分であれば、直結式を検討できます。一方、条件を満たさない場合は、別の給水方法や設備を検討する必要があります。
水圧・水量や給水管の口径などを確認し、必要な性能を満たせる方法を選びましょう。
水圧・水量が足りない場合はどうする?
直結式を検討しても、水道の水圧や水量が不足していると、そのままでは必要な放水性能を確保できないことがあります。
その場合は、
- 給水管の口径を見直す
- 増圧設備を設ける
- 受水槽とポンプを使う
といった方法を検討します。
また、建物の条件によっては、内装の仕様を見直すことで必要な放水性能の条件が変わる場合もあります。
直結式は設備をコンパクトにしやすい一方、給水条件を満たすことが前提です。逆に受水槽式は設備スペースが必要になりますが、設備側で必要な水量・圧力を確保しやすいという特徴があります。
どの方法を採用できるかは、地域の水道の供給条件や建物の状況によって異なります。
現地で水圧・水量・給水管の口径を確認し、必要な性能を満たせる方法を選びましょう。
まとめ|まずは「直結式・受水槽式」と「湿式・乾式」を理解する

水道連結型スプリンクラーの分類は、次のように整理するとわかりやすくなります。
給水方法の違い
- 直結式:水道から直接スプリンクラーへ給水する
- 受水槽式:いったん水槽にためてから給水する
配管状態の違い
- 湿式:通常時から配管内に水が入っている
- 乾式:通常時は配管内に水を入れない
実際にどの方式を採用できるかは、水道の水圧・水量、給水管、建物条件などによって決まります。
「直結式で設置できるのか」「受水槽やポンプが必要なのか」と迷った場合は、図面だけで判断せず、現地の給水条件を確認することが大切です。
東宝企業株式会社では、横浜市を中心に水道連結型スプリンクラーの点検・工事に対応しています。
水道連結型スプリンクラーの新設・改修をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
参考:
株式会社水防協|消化タンク、加圧ポンプが不要な水道直結型乾式方式スプリンクラーシステム